インターナショナルスクールでありながら日本人を両親に持つ日本の生徒が大半。自由でオープンな校風の下、自ら考える子どもが育つのはなぜなのでしょうか。アミークス国際学園のユニークな教育方法について聞きました。

 

 

──これまでのご経歴をお聞かせください。

安居長敏(以下、安居)大学卒業後の1982年に、滋賀女子高校の教師としてキャリアをスタートさせました。20年間勤めた後、2002年からは「エフエムひこね」「FMひがしおうみ」という2局のコミュニティFMの設立・運営に携わり、経営はもちろん、番組制作やDJも担当しました。同時にパソコンサポート事業も起業。2006年からは再び教育現場に戻り、滋賀学園中学校・高等学校に教師として赴任し、2013年からは、滋賀学園高等学校の校長を務めました。2015年からは滋賀学園中学校・高等学校の校長を担い、2017年から現職です。

──滋賀学園からアミークス国際学園へと、教育の現場を移されたのはなぜでしょうか。

安居 理由は3つあります。ひとつ目は、自分が挑戦してみたいことがアミークスにはあった。高校教師と中高一貫校の教師を経験してみて、もっと若年層、人間の基礎をつくるような時期から関わりたいなと思うようになったんです。
ふたつ目は、教師として英語で授業をしたいという思いです。実は中学1年で英語に挫折を感じた経験があるんです。英単語と文法の詰め込みで、英語が嫌になった。その苦手意識を自ら克服し、授業を行うレベルまで到達できたらと思っています。道のりはかなり長そうですが(笑)、ぜひ実現したい。
最後は、自分への課題意識です。沖縄は、もちろん生まれて初めて住む土地です。環境をガラリと変えることで自分がどんな影響を受けるのか。そして教育に関わる者としてどんな風にブレイクスルーできるのかを、自分で体感したいと思いました。

──アミークスは教師も子どもたちも多国籍だそうですね。

安居 教師陣の出身地は、アメリカやカナダ、オーストラリア、ケニア、南アフリカ共和国など、14カ国。しかも彼らは、生まれた国と育った国・学んだ国が違うことは当たり前で、日本に生まれ育って、日本で仕事をしているのは私くらいかもしれません(笑)。
一方、子どもたちの大半は日本人のご両親の下に生まれた日本人ですが、19カ国の国籍の子どもたちが集う場所でもあります。非常に多様性に富み、学校そのものが地球儀の中にあるような感覚なんです。こういった環境の下だからこそ、自分で考え・学び・行動し、自分の将来を自分で切り開く「自立した子ども」を育てていけると思いますね。
具体的には、「Creative Thinker(創造的な思考者)」「Independent Learner(自主的な学習者)」「Risk Taker(リスクをとれる人)」。この3つの要素を大事にしたいと考えています。

──自立した子どもを育てるためには、保護者の存在も重要だと思います。学校とご家族の実際の距離感についてはいかがですか。

安居 保護者の皆さんは非常に積極的に、しかも自主的に学校に関わっておられると思います。保護者と教員の共同組織であるPTAは、SHinE(School Home in Educationの略称)と親しみを込めて呼ばれ、連携を深める重要な役割を担っています。他にも、保護者主体で子どもたちのお別れパーティーを学校で開いたり、制服のリユースをしようという企画ではひとりのお母さんが自らチラシやポスターをつくって全体を巻き込んでいったり。非常にエネルギッシュな方々に囲まれています。

──アミークスが取り組む教育の特徴についてもお聞かせください。

安居 いわゆるアクティブラーニングと言われるものが、日常的なレベルで、型にとらわれることなく自由に行われています。国籍もバックボーンも違う先生がペアとなって、子どもたちに対し、息を合わせながら授業を展開していくんです。
英語の授業を例にすると、オンタリオ州(カナダ)のプログラムを採用しているのですが、教科書はありません。「平和」「沖縄の自然」といったテーマに対して、子どもたちに自由に考え、調べさせて、英語でプレゼンテーションをさせます。
また、小学5年生の算数の授業はグループ学習が中心なので、グループによって進度が違ってきます。今日の授業ではここまで進んだ、次の授業ではここから始めたいということを先生が言ったとしたら、その間をどうするのか。宿題にするのかどうかなどを、グループで決めて先生に報告したら、終了です。宿題の有無やそのボリュームなどはグループ毎に異なって良い、という考えなんです。

──ICT教育という点での特徴はありますか。

安居 Wi-fi環境が整っていたり、さまざまな教科でオンラインプログラムを取り入れたりするなど、積極的にテクノロジーを導入しています。しかし、デジタルデバイスの使い方やプログラミングを教えることはごく一部で、教科として独立させて、学校で教えることでもないと考えています。
例えば、1コマ45分の小学校の授業では、最後の5分間だけPCを準備させて、その日の授業で学んだことをクイズ形式で振り返るようなオンラインゲームを取り入れています。たった5分でも、子どもたちは「コンピューターを使った!」とすごく喜びます。当然、PCのセットアップからキーボードの打ち込みも子どもたち自身がするわけですが、タイピングを教えたりPCの接続方法を教えたりしなくても、「その5分をフル活用するためにどうする?」と投げかけた方が、子どもたちは自分で考えて学びます。

アクティブラーニング
学習者である生徒が、能動的に学ぶことができるような授業を行う学習方法。
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