人事はパラレルワーカーに賛成?反対?

パラレルキャリアのリアルに迫る「パラレルキャリア考察」。前回の調査結果は、パラレルキャリアの実態をその従事者に聞いたものでした。第2回目となる今回は、複業・副業を認める企業の人事担当者100名を対象に、「パラレルキャリアをどう思うか?」を調査しました。

パラレルワーカーが感じているように、従事者のスキルアップは会社の成長にもつながると感じているのか。あるいは、本業の妨げなどの理由から辞めてほしいのか。社員のキャリアを俯瞰して捉え、その育成にも携わる人事担当者のリアルな意見をご紹介します。

こんなに多いの!?パラレルキャリア肯定派

1つの会社の仕事にとらわれず、異なる仕事に従事する働き方であるパラレルキャリア。まず調査したのは、人事担当者がパラレルキャリアを知っているかどうかです。

その結果、77%以上もの人事担当者が「パラレルキャリア」という言葉の意味を知っている、聞いたことがあると回答。新しい働き方の一つとして国が推進していることもあり、やはり多くの人事担当者に認知されているようです。

そこで、私たちLIBERTY GRAPH編集部(以下、LG編集部)に新たな疑問が…。複業や副業を認めている企業では、すでにパラレルキャリアを支援する制度や仕組みが存在しているのでしょうか?

「ない」が66%。とは言え、1/3の人事担当者が「ある」と答えています。その内容を調査すると、「就業規則で保証している」といった制度面だけではなく、「時間短縮労働」「フレックス勤務」「テレワーク」「残業の免除」など、パラレルワーカーが時間を有効活用できる仕組みを挙げる方が多数!

そして、ここで最も気になる質問を。

なんと9割以上の人事担当者がパラレルキャリア肯定派であることが明らかに!もはやパラレルキャリアが当たり前の時代はすぐそこまで来ているのかもしれませんね。

賛成派にその理由を聞いてみると、大きく2つの意見にわかれていました。一つは、「収入が増える」「視野が広がる」「能力を試したり、伸ばしたりできる」といった“本人にメリット派”です。本業に支障が出ない範囲で、自己実現を図ることは権利という意見も少なくありませんでした。

もう一つは、「仕事や人間性に幅が出る」「新しい人とのつながりが、自社にとってプラスに働くことがある」「さまざまな知識や経験が本業に活かせる」「異なる業種などの経験は新鮮で、逆に本業に新しいアイデアをもたらす可能性もある」などの“会社にメリット派”です。マネジメント感覚で会社のことを考え、中長期的な視野で人材開発を捉えている人事ならではの意見かもしれません。

人事から見た本業への相乗効果とは!?

みなさんは、まだまだ「パラレルキャリア=一部の特殊な職種・職能」というイメージを抱いているのではないでしょうか?いったいどんな人が「パラレルワーカー」になるのか、人事担当者に聞いてみました。

最も多いのは「営業」!意外でしたか?すべての業種・業態で言い切れるわけではないですが、営業職(販売従事者)は国内で約860万人、労働者の約13%(総務省統計局「平成29年労働力調査」より)を占めているほど、多くの人が従事している職種です。

ということは、広く一般の人がパラレルキャリアを実践しているということになるのでは!?今回の調査では実際、従事者の職種は「総務」「販売」「経理」「開発・研究」という順番で多かったようです。もう、パラレルキャリアは、けっして特別な職種・職能を持っている人だけのものではない、ということがご理解いただけると思います。

さあ、続いては前回の記事を読んでくれた方にはお待ちかねの質問です

パラレルワーカーに同様の質問をしたところ、相乗効果がある、と答えたのは78%。一方、人事担当者の肯定的な回答は65%に留まりました。もちろん、それでも十分高いスコアですが、従事者ほどの評価につながらなかった理由は何でしょうか?「相乗効果を感じない」と答えた人の意見をご紹介します。

「本業が疎かになる危険性がある」「疲れや不満が膨らむばかり」「世界観や視野が広がり、結果的に仕事に活きるのは認めるが、どっちつかずになる可能性が高い」といった、従事者の体力や活力などを気にする意見が多くありました。あくまで本業ありき、というスタンスです。

一方で「相乗効果を感じる」と答えた人に多かったのは、「広い視野を持てる」「物事の見え方が変わる」「経験値が上がる」「タイムマネジメント」といった従事者の能力向上や、「やる気がでる」「モチベーションが上がる」といった働く意欲が前向きになるという意見でした。こうした意見は従事者の回答にも多く見られたものです。

さらに、従事者よりも客観的な目で相乗効果を実感している人事担当者もいます。「他社との交流」「売上が上がった」「営業が人脈・スキルを上げ、前向きになったから社内でも好評」など、本業へのメリットにそのままつながった意見が寄せられました。

結果から考えると、本業と上手く両立さえできれば、従事者の回答にもあるように、パラレルキャリアによる社員の能力向上は会社にとってプラスと捉えている人事担当者は多いと言えるでしょう。

女性こそパラレルキャリア!?

最後の質問は、前回の従事者同様、女性と複業・パラレルキャリアの関係についての調査です。


有効だと考える人事担当者は、71%!

これは従事者の71%とまったく同じスコアです。どうしてこんなにも多くの方が賛同しているのでしょう。

その理由として、男女問わずに主体的にキャリアデザインをめざすべき。結婚、出産、子育てといった、女性ならではのライフステージの変化を意識するべき。女性特有の感性を伸ばすべき。実は、従事者と同じ3つの意見に集約されました。

しかし、従事者との違いもありました。より客観的な視点が加わった意見が多かったことです。

たとえば、「男女関係なく有効だが、雇用者のニーズは女性のほうがマッチしやすい」。結婚というライフステージの変化なら、「結婚しても、夫側も身分や収入が保障されていない」「夫に頼らないライフプランの設計が可能になる」などなど…。

こうした視点の深さは、人材採用や社員のスキルアップ支援など、組織全体を把握し会社の将来を見据えた業務に従事している人事ならではの意見かもしれませんね。そして、人事としても、一人の社会人としても、人事担当者の多くが女性のパラレルキャリアに賛同している事実も印象的でした。

今回は人事担当者がパラレルキャリアをどう思っているのか、をご紹介しました。次回は、人事がパラレルキャリアをジブンゴトとして考えているのか…を調査します!社員のキャリアに造詣が深い人事の本音は、自分なりのキャリアアップを考えている方にとって、きっとお役に立つ情報になるはずです。