職住分離を実践する人の「本音」とは?

「職住分離」の実態に迫る「なぜ、都会で働き田舎に暮らすのか。」。前回の記事は、都市部に勤め、都市部以外に暮らすキャリアウーマン100名への調査データを中心に、職住分離を紐解きまた。今回は、フリーアンサーなどを通じて、「実践者にしかわからない、知られざるメリット・デメリット」を深堀します。

困りごとからワークスタイルの変化、おすすめポイントまで。体験しないとわからない「職住分離の本音」を調査しました。「職場から離れた地に住みたい」「田舎での暮らしに憧れている」「自然豊かな地で子供を育てたい」。そうした想いを抱いている方、ぜひご一読ください。

困りごとと知られざる対処法

まず調査したのは、困りごとについてです。その困りごとを選んだ理由や解消法についても調査しました。

最も多かったのが「長時間通勤」という回答でした。「やはり」と思われた方も少なくないでしょう。回答の理由を調査してみると、「通勤時間が長い」「電車通勤が大変」だけでは語りきれない困りごともありました。

たとえば、「電車が遅延すると間に合わないから、勤務時間よりかなり早く出勤している」「打ち合わせに向かうのに時間がかかる」といった仕事面での苦労。あるいは、「終電が早いから飲み会には極力、参加しない。しても早めに切り上げる」「家のことをする時間がない」といった通勤によって他の時間が奪われてしまうデメリットもあるようです。

とは言え、「読書」や「音楽鑑賞」、「翌日以降の、仕事の整理」など、通勤時間の長さを上手く活用している人も少なくありませんでした。

次に多かった困りごとは「買い物・外食」です。「買い物が不便だから、まとめて購入する」「手に入らないものが多く、ネット通販を利用する機会が増えた」という困りごとは、きっと想像できたのでは?でも、「外食先が少ないから、帰宅途中の主要駅で途中下車して立ち寄る」という涙ぐましい工夫は想像できませんよね。

「人とのつながり」に困っている人も多くいました。「家族との時間が減った」「平日はほとんど家にいないため、近所付き合いがほとんど生まれない」といった意見ですね。「人と関わることが少ない。そのため自ら知人に積極的に連絡を取っている」「困ったときに相談できる人がそばにいないから、自分自身が知識を身につける」といったユニークな解消法も見られました。

職住分離は働き方でメリットが変わる

続いて調査したのは、先ほどの困りごととは反対の内容です。ここではワークスタイルのメリットを質問してみました。

最も多かったのが「オンオフの切り替えができる」という回答でした。その理由を聞いてみると、「仕事とプライベートを区分できる」「仕事から意識がはっきりと切り離せる」といった職場からの距離が働くことのメリットにつながっている意見が多く見られました。

また、「自分の好きな環境に暮らせているから生活にメリハリができた」という住環境の良さが切り替えにつながっている意見も少なくありません。中には「地元では会社の人間と会う可能性がないから、のびのびできる」といった思わず共感してしまう意見も!

次いで多かったのが「効率よく働ける」。遠距離で働いているからこそ、電車などの関係から働ける時間が限られてしまう。だからこそ、「仕事に集中するようになった」「できるだけ残業しないように心がけるようになった」といった意見が見られました。

そして「ストレスが減らせる」が三番目に多い意見でした。これは、「自然豊かな環境」で暮らすことで「プライベートが充実する」という理由でした。たとえば「休みにすることの選択肢が増えたことでリフレッシュできる」「物価が安く、居住空間がひろびろしている」といった暮らしの充足感がストレスの軽減につながると考えているようです。

1~3位は内容自体はそれぞれ異なっているものの、「通勤時間の長さ」が直接的、間接的の違いはあれど、その理由につながっているのではないでしょうか。

通勤が長いからこそ、オンオフが切り替えられるし、効率の良い働き方が得られる。そして、通勤が長くなる場所は都市部から離れた自然豊かな居住地だからこそ、ストレスも軽減できる。こうしたメリットから職住分離は、自分自身の生き方・働き方にメリットを得られるものと考えられますよね。

ところが、こうした考え方とは異なるメリットを感じている人もいます。それは、職住分離だけれども、リモートワークで働いている人たちです。この人たちに同じ質問をしました。

1位は先ほどの回答者と同じですが、2位は「自分のペースで働ける」、3位は「家族との時間」と続きます。リモートワークをしている人は、長時間通勤に起因するメリットとは異なる魅力を田舎移住に感じています!

以前「リモワ女子のお作法」という記事で、リモートワークを実践するキャリアウーマン100名へのアンケート結果をご紹介しましたが、リモートワークは就業地とは離れた場所で就業する働き方です。「仕事の生産性があがった」「体力的・通勤時間・精神的の負担が減った」「自分の時間や家族との時間が増えた」と効果を実感している人が半数以上いました(詳細は知りたい方はこちら)。

こうしたメリットは、田舎移住でも変わらないようです。「自分のペースで働ける」の回答者には「自分のペースでバリバリ働ける」「好きな時間に仕事ができる」という意見が、「家族との時間」の回答者には「子供の近くにいられる」「育児をおろそかにしないで済んだ」といった意見がありました。

「パソコン、タブレット、通話ができるものがあれば、どこででも仕事ができる」という意見に集約されますが、働く場所に縛られないリモートワークなら、通勤に時間を割く必要はありません。通勤やリモートワークなどの働き方次第で、田舎移住、職住分離で得られるメリットは大きく変わるということですね。

職住分離に向いているのは〇〇な人

職住分離や田舎暮らしには、やはり実践している人にしかわからないことがたくさんあります。だからこそ、これから就業地から離れた地で暮らそうと思っている人はこの質問が気になるのではないでしょうか?

1位は「そこそこの利便性」!おすすめのポイントというより、アドバイスに近いかもしれませんね。長距離通勤や買い物・外食など、交通や暮らしやすさなどのインフラ面が困りごとになっていることをご紹介しましたが、こうした体験がこの答えにつながっているようです。中には「就業地から遠くても、始発駅で職場の最寄り駅まで行けるところ」といった具体的かつ納得できる意見もありました。

2位の「豊かな自然環境」は、やはり田舎に暮らす醍醐味ですね!「自然が豊かだから心も豊かになる」「子育て環境の良さにもつながる」といった意見がありました。中には「都会も便利で楽しいけど、田舎にくると落ち着いたり、独特の香りや人々の温かみをたくさん味わえると思う」という素敵な意見をくれる人も!

3位の「休日が充実する」は先ほどの「豊かな自然環境」があるからこそでしょう。「休日はやりたいことができる」「ゆっくりできる」「都会の喧騒から離れて落ち着いた休日を過ごせる」といった意見が寄せられました。「職場から離れた場所でゆっくり体を休ませることはリフレッシュになる」といった週末ごとにしっかりリセットできる良さもあるはずです。

「時間を有効活用できる」は、同率3位でした。「時間配分がうまくなる」「効率が良くなる」というのは、長距離通勤により時間が制限されるからこそ、時間を有効活用する能力・ノウハウが磨かれたという実感のある人が多いのだと考えられます。

恵まれた自然環境で休日を充実させたい。都市部より利便性は下がっても、仕事自体はタイムマネジメントで補うのが苦にならない。そうした人にこそ、都市部から離れた田舎移住のライフスタイルは向いているのかもしれませんね。

最後に、とても興味深いデータをご紹介します。前回の記事でご紹介した「職住分離を始める前と後、どちらが生産性が上がっていますか」という質問と組み合わせています。

職住分離後のほうが生産性が上がったと答えた人ほど、「家族と過ごす時間が増えた(41.9%)」と答えている!

リモートワークという働き方もありますが、長距離通勤を前提にするなら、自分の仕事における効率について意欲的に改善する意思がなければ、職住分離後に生産性を高めることは難しい。そのこと自体は、今回の職住分離で働く人の本音からご理解いただけたのではないでしょうか。

その上で、家族との時間を大切にしながら、今以上に仕事を効率的したい。そう思える人ほど、職住分離という働き方は向いているのだと、このデータは物語っていますよね。

今回は、実践者のフリーアンサーや意見を中心に「職住分離の実態」を分析しました。「なぜ、都会で働き、田舎に暮らすのか。」はこれで終了ですが、いかがでしたか?田舎移住しても、通勤型か、リモートワーク型か、その働き方次第で得られるメリットが大きく変わることはお忘れなく!お届けした内容が、田舎暮らしやライフステージの変化などを検討されている方のお役に立てることを願っています。

>>[前篇]データで読み解く職住分離を読む