「ワークライフバランス」という言葉が聞かれるようになって久しいですが、特にここ数年は「働き方改革」という言葉と共に再び注目されています。

「ワークライフバランス」とはそもそもどういう意味なのでしょうか?直訳すると、「仕事と生活の調和」という意味です。その言葉通り、働く人々が「仕事」と「生活(プライベート)」とのバランスをとって、両立させることを目指した考え方です。

ワークライフバランスとは

この言葉の発祥は、1980年代のアメリカです。当時のアメリカは産業構造が大きく変化し、女性の就労機会が一気に増えたタイミングでした。同時に「仕事と育児の両立」という問題が浮き彫りに。企業は女性たちが仕事と育児を両立できるよう、様々な支援を行いました。その支援策がワークライフバランスの始まりと言われています。

日本での取り組みはどうなっているのでしょう?

日本でワークライフバランスが言われだしたのは1990年代以降です。バブル経済の崩壊によって、リストラ、終身雇用の廃止、非正規雇用の増加、少子高齢化による労働力の不足など、雇用の形態や働き方の多様化が進みました。これにより、労働に対する日本人の価値観が変わったことがきっかけです。

この流れは2000年代になるとさらに加速し、2007年には内閣府と自治体で、“働きすぎを解消し、少子化対策にも役立てるためのワークライフバランス(仕事と生活の調和)憲章”が決定されました。以降、企業だけでなく社会全体として、ワークライフバランスの取り組みが行われるようになりました。

[ワークライフバランス憲章] 参照元:内閣府 男女共同参画局

ワークライフバランスを阻む原因

日本でもワークライフバランスを意識した働き方が取り入れられるようになりましたが、社会全体を見るとまだまだ労働過多になっている側面もあります。
ワークライフバランスを阻害している要因には、日本独特の慣習や労働観もあります。

実際に何がワークライフバランスを阻害しているのか具体的に見ていきましょう。

1,長時間労働を美徳としている、帰りづらい

ワークライフバランスを阻む要因

ワークライフバランスを阻む最も大きな原因に、長時間労働を美徳としている人たちの価値観が挙げられます。
日本の社会は古くから、個人の能力よりも忠誠心を重視する傾向がありました。特に経営者や管理者には、“プライベートを犠牲にすること=組織への忠誠心”という考え方が根強く残っています。これが日本社会の、“プライベートを犠牲にした長時間労働”、“定時に帰りづらい雰囲気”に繋がっていきました。

その影響からか、多くの日本人には、“長時間労働は当たり前”という意識があり、海外と比べて労働時間が長い傾向にあります。中でもサービス残業は、「帰る・帰らない」の判断が社員の自主性に委ねられること、労働の対価が支払われないことから、雇用する側・される側どちらにも生産性向上の意識が芽生えず、長時間労働を助長してしまっています。

2,社員間の不公平感

日本の企業は、集団意識が強く一人だけ早く帰るなど、集団とは違う行動が取りづらい文化にあります。みんなが仕事している中で一人だけ帰ると不公平感を抱く人もいます。
日本の企業には、「能力」や「生産性」といった評価基準がまだ浸透していない企業があり、同じ仕事量をこなしていても早く帰るのに気を遣わないといけない場合があります。

こういった日本特有の文化、慣習がワークライフバランスを邪魔する要因につながっています。

なぜ、「ワークライフバランス」が重要なのか

長時間労働による心身の健康低下

ワークライフバランスが注目された背景に、長時間労働による過労死、パワーハラスメントと過重労働による自殺、ワーカホリックによるうつ病などの社会問題があります。
長時間労働は心身ともに悪影響を及ぼすだけでなく、職場や家庭内の人間関係にも悪影響を及ぼします。
そのためワークライフバランスを取り、心身の健康を保つことが推進されるように変わってきました。
プライベートも大事にする事で、健康が保たれ、仕事にも好影響を及ぼします。
最近では効率の悪い長時間労働よりも、ワークライフバランスを考えた働き方を取り入れる企業も増えつつあります。

女性の社会進出を後押しする

女性の社会進出

結婚しても仕事を続ける女性が増えてきたことで、共働き世帯が増えています。
しかし仕事に忙しい男性の多くは、家事・育児への参加意識が低く、これまで通り女性が家事育児もこなすケースが多いようです。
これでは家事と育児を両立できず、やむを得ず仕事を辞める選択をすることになりかねません。これは女性の社会進出の妨げになると同時に、少子化にも繋がるため、日本社会にとってとても大きな問題です。
女性だけでなく、男性もワークライフバランスを見直し、家庭や家事参加の在り方などを見直すことが重要となってきます。

働き方に対する企業の意識改革が必須

■タイムマネジメントを見直す

これからの日本は少子高齢化によって、労働者が限られてきます。企業はこの点を意識し、これまでよりも少ない労働時間で業績を上げていく、タイムマネジメントの見直しが必要です。具体的には、以下のような事が重要となってきます。

  • 従業員の生産性と能力を上げる
  • 無駄な業務や時間を削減する

■経営者・管理職の意識改革を行う

ワークライフバランスを浸透させるためには経営者や管理職など影響力の高い人の意識や行動が重要です。

まずは、経営者がワークライフバランスへの理解を深めたうえで、管理職に対して地道に啓蒙していくことが大切でしょう。また、従業員が自らの生活に合った働き方を選択できるよう、組織の制度を整備することも必要です。その上でさらに経営者や管理職自らも、有給休暇などの取得を積極的に取得し、不要な残業や休日出勤しない、など社内にワークライフバランスに対する抵抗感のない空気や環境を作ることが大切です。

まとめ

世界が多様性を受け入れ変化していく中、日本人は昔ながらの仕事観・人生観のもと多忙な生活により少子化を加速させてきました。こうした現状から、今改めて「ワークライフバランス」の重要性が叫ばれています。
今後はワークライフバランスによって人々が人生の豊かさを見直し、社会全体が活性化する。そんな未来を目指していきたいですね。