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Special Interview/Vol.2 ステレオタイプを超えていけ。

photo: 早坂 香須子
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Kazuko Hayasaka
早坂 香須子

元看護師という医学的知識と観点から、インナービューティ、オーガニックプロダクトコンサルタントなど多岐にわたり活躍。アロマやフィトテラピーにも精通し、その豊富な知識を活かした美容メソッドを提案している。著書「100% BEAUTY NOTE 早坂香須子の美容A to Z」(KADOKAWA)ほか。NEROLILA Botanicaブランドディレクターを務める。

photo: 早坂 香須子
自分の人生で“今”が一番若い、1秒でも早く始めよう。

看護師から一念発起し、メイクアップアーティストの道へと進んだ早坂香須子さん。多くのモデルや女優さんのメイクを担当するほか、セルフプロデュースの化粧品の開発、講演会など、その活動は「メイクアップアーティスト」という枠を超えて、大きく広がっています。転職のきっかけとは?そして困難にぶつかった時の対処法とは?早坂さんのポジティブな生き方を教えてもらいました。

photo: 早坂 香須子
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挫折と転機。それは深夜のナースコールから始まった。本当に好きなことってなんだろう。

仲の良い友達に感化され看護師を目指し、都内の病院に勤務したのですが、自分の担当外の患者さんから、深夜にナースコールが鳴ったことによって、私の最初の固定概念、「ステレオタイプ」が崩される出来事が起こりました。

その患者さんは高齢の男性で、普段は別の看護師が担当しているのですが、深夜の時間帯、たまたまほかに人がいなかったので、私が行くことになったんです。

いざ行ってみるとその患者さんは「足をさすってくれ」ということでした。そのときの私は内心(忙しいのに)と思い、他の事を考えながら言われたように脚をさすりました。5分もしないうちに、その男性から「もういい。いつもの人に変わってくれ」と言われてしまいました。何が不満なのかわからなかったのですが、担当の先輩看護師に変わると、先輩は、暗い病室のなかでも、その高齢男性の顔を見ながらずーっとさすっていたんです。

その男性はその4時間後に亡くなられました。おそらくですが、あと4時間の命のなかで、いろんな感覚が研ぎ澄まされて、私が不本意ながらさすっていること、先輩が心から患者さんのためにさすっていることの違いをわかっていらしたんだと思います。“手”から伝わる何かを感じとられたんでしょうね。

この一件から看護は自分に向いていない、ここにいるべき人間ではない。という心の変化が起こりました。そして自分には何ができるのだろうと考え、ふと、子供のときに母親のメイクボックスで遊ぶのが好きだったことを思い出したんです。“看護師”という資格を取得して就職したのにメイクアップアーティストへの道へ。安定から変化へ。普通なら、国家資格があってずっと働ける仕事なのになぜ?と思いますよね。「ステレオタイプ」から外れる最初の転機でした。

メイクの学校に入りメイクアップアーティストの道へ仲間とともに成長した日々。

24歳で渡辺サブロオさんのメイクアップスクールに入ってからは生活が大きく変わりました。家賃の安いところに引っ越し、服飾系の学校に通う友人に教わって自分で洋服を作ったり、DIYでインテリアを作ったりしました。食生活も変わったので、看護師時代より肌の調子がとても良くなりました。お金はないけれど、なんでも楽しかったですね。映画もたくさん観ましたよ。40〜70年代のアート系の映画が多かったかな。フランソワ・トリフォーやジャン=リュック・ゴダールの映画に憧れて、友人たちとカフェで夜な夜な話しあったり。それもすごくいい思い出。面白かったですね。

でも仕事はまったくなかった(笑)。28歳のときに、いわゆる“アラサー・クライシス”が訪れます。結婚か仕事か、出産や育児の問題など、30歳前の女性が誰しも悩むタイミングですよね。

そのときの私は、仕事が全然入ってこなくって、メイクの仕事よりバイトばかりの毎日。当時付き合っていた人が、地方で仕事をしてた人だったので、結婚したら、東京を離れなくてはならない。東京を離れたら、メイクアップアーティストの仕事はできなくなる。

自分はこれからどうすべきかいろいろ想像して悩みました。助産師の資格をとって、もう一度看護師をやり直そうかとまで考えて。行き詰まっていましたね。

そんなときに、一番心に響いたのは、師匠のyUKIさんから言われた「いいんじゃない。メイクアップアーティストをやめた後、後輩たちが活躍する姿をみて、かずちゃんが悔しいと思わなければ」という言葉でした。その瞬間、悔しいですって泣きました。本当に好きなことだから譲れない、やっぱり諦めきれない。

親にも電話しました。看護師に戻るといったら親も安心するだろうと思っていたのですが、父親からは「がっかりした」。母親からは「やりたいことをやりなさい」という返事。え?親って安定のほうが安心するんじゃないの?って思っていたのに……。実は自分が勝手に、安定や結婚などのステレオタイプにおさまろうとしていたんですよね。28歳だからこうあるべき、と思い込んでいた。でも周りはそんな風に思っていなくて、自由にやっていいよ、と言ってもらえた。

自分自身でもう一度考え直してみました。本当にやりたいことをやっているのか?それは、本当に好きなことをやって失敗したら怖いから挑戦していないんじゃないかと。メイクアップアーティストという仕事が好きなのに、本気でぶつかっていない、もし失敗したら才能がないってことになる。それは嫌だ、って思う小さなプライドに邪魔されている。人って案外、泣いた瞬間から小さなプライドが捨てられるんです。本気でぶつからないでどうするの?プライドを捨ててもすべきことがある、ってやっと気づいたんです。

photo: 早坂 香須子
photo: 早坂 香須子
自分に言い訳をしていないか?勝手に「こうあるべき」と決めつけていないか?

講演会に来ていただいた方に、「やりたいことは何ですか?」と聞くことがあります。夢に向かって頑張っている人もいれば、夢はあるけれど何もしていない、という人も多い。そんな人に理由を聞くと「だって」「でも」「上司が」など、できないことを外部の要因にしているんですね。本当はやりたいけれど、時間がない、周囲の反対が、今更できない……。いつも何かを諦める、でもそれは自分の中にあることなんです。本当にやりたいことがあるのにそれをしていないのは、良いも悪いも自分が選択したものだから。ネガティブな“言い訳ステレオタイプ”ですね。何を言われてもやりたい、進みたい、と思えば、自分が作った狭い世界からフレキシブルに動けるようになれるんです。

photo: 早坂 香須子

私はプライドを捨てた後、『作品作り』を仲間と始めました。

カメラマンの卵やスタイリストのアシスタントをしている友人たちと、お金を出しあってモデルさんをメイクして、スタイリングして、写真に撮る。それを毎週やるようになったんですよ。

仲間たちと制作活動をするようになってから、自分の足元が見えてきました。仕事がない、あれもないこれもない、って“ないもの”ばかりをずっと見ていたことに気づいて。見方を変えて“あるもの”に目を向けてみると、資格を持っている、仲間がいる、作品が作れる、好きなことを仕事にしている……。それを増やしていった感じですかね。自分はメイクアップアーティストとしてこうあるべき、という理想像とのギャップに苦しむというか、それを一回置いて、あるものに立ち返ったというか。

実際、当時一緒に作品を作っていたカメラマンやスタイリストの仲間からの紹介などで引っ張ってもらいながら仕事が入ってきて、31歳ぐらいでやっと、メイクの仕事だけで食べていけるようになりましたね。決めつけ、思い込みから解放されることで、結果的に仕事の幅が大きく広がっていったんです。

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6年前のメモが実際の商品コンセプトとほぼ同じだった。
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「YOU ARE SO BEAUTIFUL 〜最高の私に出会う7日間〜」早坂香須子著
心の中の“直感”を信じて自分の好きなことに気づくそれが自分を活かせる道に。

実は、6年前に飛行機の中で突然思いついたことを、その場でバーッと書き残した紙が出てきたんです。突然閃いたから、機内誌のページをやぶって、白い部分に思いつくまま書いていた。それが今、セルフプロデュースの化粧品「NEROLILA Botanica」のコンセプトやデザインとほぼ同じなんですよ。自分では書いたことなんかすっかり忘れていて、たまたま引っ越した時にこの紙を見つけてびっくり。「これ私書いてたわ!」って。

だから、夢を実現していない、できない、と思っている人には「自分の直感を信じて」と言いたいですね。すぐに形にはならなくても、夢や実現したいことを書き残したり、「あ、それいいな」と思ったこと、子どもの頃好きだったことなどに触れるきっかけがあったら、それに近づいてみたり。

この時代、これからどうなるかなんてわからないけれど、自分で選んでいくのは自由でしょう。いつでも変わっていくことができるんです。あ、これ好きだった!思い出した!そんな心の声を自覚することで、人ってきっと変わっていけると思います。

最近は、東京から出ることも多くなりました。オフになると、八ヶ岳にある画家の友人のアトリエを借りて、そこでのんびりしています。空気が澄んでいる場所なので、いずれは香りのブレンドなどもそこでやってみたいですね。今までは、メイクアップアーティストは都心にいないと仕事がない、というステレオタイプに縛られていましたが、現在、モデルやカメラマンがハワイだったりロスに住みながら活動を続けていたりする。だからメイクアップアーティストだって東京が拠点じゃなくてもいいかな?また固定概念から外れようとしていますね(笑)。

現在はメイクアップアーティスト、NEROLILA Botanicaブランドディレクター、本の執筆など、仕事の幅が広くなったこともあり、むしろ肩書きなんてどうでもいい、「早坂香須子」でいい。と思っています。若いころは、あんなにメイクアップアーティストって肩書きにこだわっていたのにね。

最近では、「NEROLILA Botanica」の良質な素材を求めて、地方の農園などに行き、地元の人と話しをしたり、地域再生に関わったりと、新たな取り組みも増えています。メイクアップアーティストという軸がありながらも、興味があること、好きなことをして、それがどんどん広がっていく。だって、自分の人生で“今”が一番若いからね。1秒後、10秒後、1年後は今より年をとっているんだから。やりたいことがあったら1秒でも早く、すぐにやるべきなんですよ。戻れないからね。

若い頃に占いで「大器晩成」って言われたことがあり、その時は微妙?と思ったのですが、今ではまだポテンシャルがあるのか、と考えられるから良かったと思えます(笑)。今の生活はすごく楽しいし、やっていることは同じことに見えても経験や知識量は増えてブラッシュアップされている。私は『ステレオタイプ』から外れていく、超えていくことで、さらに自分らしく生きているんだと思っています。

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  • produce 早坂さんがプロデュースする化粧品
    NEROLILA Botanica ネロリラボタニカ

    早坂さんが、実は6年前に閃いていたというセルフプロデュースの化粧品。
    NEROLILA Botanicaの主成分は、自然農法や有機農法で育った、生命力あふれるオーガニック植物エキスと、海底泥や湧水などのマザーアースの恵み。肌だけではなく、心のバランスまでも健やかに整え、輝きに満ちた大人の美しさをパワフルに高めます。

    インセンティブ ビューティセラム (2層式美容液) 32ml ¥7,000
    アースマスク (クレイマスク) 65g ¥4,200
    ブルーミングシャワー (全身化粧水) 100ml ¥3,600
    トリプルブルー コンセントレイト (目元用クリーム) 15ml ¥6,500 (価格は全て税抜き)

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